管轄区域内の農家へ農業用水を安定供給するためには欠かす事のできない灌漑設備。 |
宮崎県の中央部に位置する一ツ瀬川地区は、畑地帯・水田地帯あわせ て3,547haにおよぶ広大な受益地を有している。 温暖な気候と立地 条件に恵まれているものの、火山灰土壌のため保水力が弱く、灌漑設備 が必要不可欠であった。 昭和47年より灌漑事業として、国営一ツ瀬川 農業水利事業および県営農村基盤総合パイロット事業が施工され、総 延長500Km以上におよぶ地下埋設のパイプライン、調整池、ポンプ施 設といった農業灌漑設備が造成された。 これら設備の維持管理を 行っているのが一ツ瀬川土地改良区である。 一ツ瀬川土地改良区の 武田参事が中心となり、土地改良区の実務に合った使いやすいシステム が開発・導入された。 このシステムは平成16年度農業土木学会より 技術奨励賞を受賞している。 |
国営・県営の灌漑事業が完了した後、一ツ瀬川土地改良区移管された管理図面は国営事業から3000枚、県営事業から20,000枚におよぶA1サイズの青焼き図面であった。漏水事故や部品交換の際には、図面をたよりに閉めるべき制水弁、菅の位置を判断する。 膨大な量の図面から必要な情報を探し出す事は困難を極めた。また、青焼き図面の劣化や、地域開発にともなう現状変化により正確さが失われるなど、紙図面による施設管理の難しさに直面してきた。 |
現在一ツ瀬川土地改良区では、ArcViewと独自の賦課金システムを組み合わせた施設管理システムが稼動している。 土地改良区の業務にマッチしつつ操作が簡単で、またデータの更新作業も独自に行えるシステムとして評価を得ている。
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■ 図面管理の簡素化
■ 施設・農地の視覚的状況把握
■ 作付・賦課金履歴の管理
■ 漏水事故への迅速な対応
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■ 施設監視・制御システムとの連動 |
一ツ瀬川土地改良区では、今後このシステムをさらに活用して、高齢耕作者の土地を若い世代へ斡旋するなどの、農地の流動化に積極的に取り組んでゆく予定だ。土地改良区から農業従事者への積極的な情報発信に大いに役立てられる。 |